Gray flannel suit & Navy coat for Mr.S
今シーズンの冬も、とても寒くなっていますが、数年前に東京から転勤で盛岡にいらしたS様に防寒も含め、冬物をという事で、北国の冬でも暖かく、また冬らしい素材感で素敵にご着用していただけるよう、こちらの生地でご注文をいただきました。
SUIT:FOX BROTHERS “CLASSIC FLANNEL “370/400gms
COAT:VITALE BARBERIS CANONICO”DOUBLE MELTON”560gms
スーツに関しては、冬らしい季節感のある物をということで、事前にフランネルの目星を付けてきていただきましたが、その中でもS様が気になっておられた英FOX社のフランネルをお薦めさせていただきました。元々フランネルの商標を持っていたブランドだけあり、フランネルだけでもウェイト、色柄などのバリエーションは圧巻ですし、クラシカルですが、洗練された雰囲気は他のフランネルにはない崇高なオーラを纏っております。(英FOX社は1772年創業という事で2022年で250周年となり、イギリスの服地ブランドの中でも有数の歴史を誇っています。)
お色は、数あるバリエーションの中で1番FOX社らしいミディアムグレーを選んでいただきました。他のブランドのこれくらいのミディアム~ライトグレーですと青白っぽくなり、見た目の印象が少し寒々しくなってしまうのに対し、FOX社のグレーは黄又は茶色がかったグレーになりますので、色の深みが増しますし、クラシカルな雰囲気と重厚感が増します。フランネルですと、生地の厚さがありますので、シャープな雰囲気を好むS様には、腰ポケットをスラントポケット(斜めポケット)にし、よりウエストのシェイプが強調され、よりシャープな印象に見えるようお作りさせていただきました。
また、コートですが伊カノニコ社のメルトンをお選びいただきました。メルトンとは、経緯双糸の綾織りで製織した後、縮絨をかけ、綾目を見えない様に仕上げた織物で、フランネルと比べ太糸番手を使用し目付が多いもので、基本的にはコート用として使用される生地になります。こちらの生地で、冬の大定番のチェスターフィールドコートをお作りさせていただきました。S様は寒いのが苦手という事もあり、ダブルのチェスターコートや、アルスターコートのデザインなどもお薦めさせていただきましたが、ご自身で1番しっくりくるシングルのチェスターコートのデザインにさせていただき、スーツと同じく腰ポケットをスラントポケットにし、着丈は膝がすっぽり隠れる長さを取らせていただき、オーセンティックな雰囲気と、シャープ感両立されるよう、お作りさせていただきました。
お出来上がりのフィッティングでは、FOX社のフランネルの色味やタッチ、着心地を、とても気に入っていただけた様で良かったです。またチェスターフィールドコートもビシッと着こなしていて、大変お似合いになっておりました。昨今ですと、ダウンや、ナイロン素材のアウター、コートをスーツに合わせる方も多いと思いますが、ウールやカシミヤなどの毛織物のコートを颯爽と着こなし、冬を素敵なコーディネートで楽しんでいただくというのもいかがでしょうか?